ベーシストのレッド・ミッチェル とドラマーの チャック・トンプソン とのハンプトン・ホーズのトリオ3回のうちの 3回目 (すべてCDで再発)は、最初の2回と同じハイレベルにある。 ホーズは「クーリン・ザ・ブルース」と「ザ・サーモン」 を紹介し、8つのスタンダード(「サムバディ・ラヴズ・ミー」、「ナイト・イン・チュニジア」、「ビリー・ボーイ」 を含む)を掘り下げ、このスウィング・バップ・デートを通して一貫して創造的なアイデアを思いつく。 ジャケットの出来と演奏内容は比例しない ハンプトン・ホーズ(Hampton Hawes)は、西海岸はロス出身のジャズ・ピアノ奏者。この人の自身の名義による吹き込みの最初期に 当たる1955年の3作は、とくに筆者のお気に入りで、きっと広く聴かれるに相応しいと思っていたりする。それら3作の3枚目に当たるのが、 本盤『ザ・トリオVol. 3(Everybody Likes Hampton Hawes, Vol. 3: The Trio)』。前2作と同様に、ベースはレッド・ミッチェル、ドラム はチャック・トンプソンというトリオ盤である
とにかく軽やかでご機嫌な演奏というのが、全体を通してのイメージと言えるだろう。けれども、よくよく考えてみれば、“さらりとしているよ うに聴こえるけれどけど実は芯が通っている”、“テクニカルに聞こえないけれど実はハイレヴェル”というのが、本盤を評するのに適切 ではなかろ うかと思う。まさしくそういう意味で、本盤は聴けば聴くほど味わいがでてくる、いわばスルメ盤と言えるだろう。 そんな観点か ベストの演奏は6.「恋人よ我に帰れ」。次いで、4.「アイ・リメンバー・ユー」と5.「チュニジアの夜」、さらに続いて 、3.「エンブレイサブル・ユー」、9.「ボディ・アンド・ソウル」、10.「クーリン・ザ・ブルース」。聴けば聴くほど味わい深くなると思える 盤に出会うと本当に幸せだけれど、本盤は確実にそうした一枚だと思う。
ついでの余談ながら、個人的な趣味からすると、このジャケット(ご機嫌なワニが描かれたイラスト)は何とかならなかったものか…。 これを “ワニがご機嫌に音楽を聴いていて…”などという人もいるようだけれど、正直、この盤の内容には合っていないと思う。これが コンテンポラリー のアルバムを作っていた人のセンスと言えば、それまでなのだろうが 、それまでなのだろうが、せめて第2作のような本人写真なら、たとえいまひとつなカットであっても 納得できそうなものなのだけれど
1. Somebody Loves Me
2. The Sermon
3. Embraceable You
4. I Remember You
5. Night in Tunisia
6. Lover, Come Back To Me
7. Polka Dots and Moonbeams
8. Billy Boy
9. Body and S oul
10. Coolin’ the Blues