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本の概要
この世には、自分の力ではどうしようもないことがある。そのことに苦しみ切なく感じても、「生きているだけで大仕事」と思ってやり過ごせばいい――。「仕方なく、適当に」「万事を休息せよ」「死んだ後のことは放っておけ」など、心の重荷を軽くする後ろ向き人生訓。死者を求め辺境の霊場を訪れる人々、逸話だらけの修行時代、よい宗教とわるい宗教、親ガチャや苦の正体――恐山の禅僧が“生老病死”に本音で寄り添う。
(目次より)
第一章 恐山夜話
一 お似合いの場所――「霊場恐山」について
二 後ろ向き人生訓
三 テレビのトラウマ
四 「赦す自分」を赦す
五 名器の霊
第二章 禅僧の修行時代
一 修行道場の怪獣
二 親しき仲にもポリティクス
三 「コミュ力」に必要な本当のこと
四 「ま、いいか」の精神
五 お布施はこわい
六 我が良き友よ
七 忘れる勇気――年齢を忘れよ。過去を忘れよ。自分を忘れよ。
第三章 お坊さん、らしくない。
一 「老師」はつらいよ
二 見かけは問題
三 私の「諸行無常」
四 禅と宇宙
五 住職の地獄耳
六 猫と草履の禅問答――「真理」への欲望
七 育成の困難
第四章 よい宗教、わるい宗教
一 よい宗教、わるい宗教
二 「宗教2世」と「カルト2世」
三 「自己カルト」だったのかもしれない。
四 「教祖」になれない
第五章 苦と死の正体
一 行先の心配
二 「親ガチャ」をゆるせないか
三 ゼロ思考――万事を休息せよ
四 「苦」の正体――覚めない夢、破れる現実
五 死んだ後のことは放っておけ
六 貧学道――「所有」という錯覚
七 命の種――「あなたがそこにいてくるだけでいい」
(著者プロフィール) 禅僧。青森県の恐山菩提寺院代(住職代理)、福井県の霊泉寺住職。1958年長野県生まれ。84年、出家得度。曹洞宗大本山・永平寺での修行生活を経て、2005年より恐山へ。18年、『超越と実存』で小林秀雄賞受賞。著書に『老師と少年』『恐山 死者のいる場所』『正法眼蔵 全新講』など。