自然からの贈り物 「はたはったん」
「はたはったん」は、自然農法センターが開発した水稲品種で、2012年に農林水産省によって登録されました。この品種は、自然交雑した自生株から選抜され、無肥料栽培条件で育成されました。特に高温登熟障害が著しい地域でも優れた特性を発揮し、出穂がやや遅く、白未熟粒の発生が抑制されます。少ない肥料でも高い収量性を持ち、穂重型で稈が長く籾数の多い特長的な外観を有しています。
玄米はやや小粒でありながら、食味はコシヒカリよりも高く、同等の甘味があり、粘りが少なくすっきりとした味わいを提供します。
「はたはったん」の興味深い点は、その誕生過程にあります。1997年に始まった育種プロジェクトでは、人工交配による過程でこぼれた種が自然発芽して偶然発見されました。これはまさに、自然農法の哲学に則った、自然からの贈り物と言えるでしょう。
品種の登録には様々な条件が設けられており、そのプロセスは緻密かつ多岐にわたります。2009年に登録出願され、2012年に品種登録がなされましたが、これはまだ商品としての販売が可能となった段階ではありませんでした。その後、「はたはったん」が商品として市場に出るには、各都道府県での「産地品種銘柄」の指定が必要でした。これには農家の栽培実績や等級検査機関による県への申請が不可欠であり、その過程でさらなるハードルを乗り越える必要がありました。最終的に、新潟県と福井県での選択銘柄の指定を受け、ようやく今年から「はたはったん」が商品としての販売が実現しました。
「はたはったん」を栽培する「木菜米ルと野菜と米...ファーム」は、群馬県邑楽町に位置しています。このファームは、夏季は暑く、冬季は赤城おろしによる冷たい風が吹く気象条件の厳しい場所で、年間を通じて約50種の無農薬野菜と無農薬米を栽培しています。
「木菜米ルと野菜と米...ファーム」は、安心・安全な食材を提供することに情熱を注いでいます。無農薬栽培により、自然の力を活かし、化学的な処理を使わずに作物を育てています。地域の気象や土地の特性に配慮しながら、品質と安全性にこだわった農産物を生み出しています。代表の諸井さんは一つ一つの出会いを大切にし、地元コミュニティとのつながりを重視しています。