ト音記号のブックマークです。
ピアノの形もございます。
【リン青銅】
リン青銅は、銅とスズの合金である青銅にリンを加えることで、青銅内部に含まれる酸化銅を脱酸した金属です。サビとして存在する酸化銅を取り除くことで、強度や硬度が向上し、耐摩耗性や弾性が改良されます。そのため、リン青銅は、加工性が高く耐食性に優れた青銅をより優れた合金にしたものといえるでしょう。
①強度、耐摩耗性が高い
具体的には、強度の指標である引張強さや耐摩耗性の指標である硬度については、リン青銅では鍛造やプレスによる加工硬化で3倍程度まで値に開きがあるものの、鉄鋼と同程度のリン青銅もあり、純銅と比べると約1.5~3倍です。
②耐疲労性に優れる
耐疲労性については引張強さと相関があることから、鉄鋼と同程度で、純銅よりも優れているといえるでしょう。また、ばね用リン青銅という種類では、リン青銅に低温焼きなましを実施するため、金属内部の残留応力が取り除かれ、本来の耐疲労性能を発揮することができます。
③ばね性に優れる
ばね性の指標となる靭性と弾性については、リン青銅の弾性は純銅と同程度ですが、靭性は純銅の1.5~3倍にもなります。
④導電性・熱伝導性が高い
導電性や熱伝導性は、スズの含有量が少ない種類のリン青銅で、銅の1/2程度、真鍮の2倍程度となっており、強度の高い銅合金の中では比較的高い値を示します。
⑤非磁性である
リン青銅を含む銅合金のほとんどは非磁性です。しかし、磁性金属である鉄やコバルトが不純物として混入してしまうと、わずかながらも磁性を示してしまいます。その場合、電子機器などに用いるとノイズなどの原因になってしまうので注意が必要です。
⑥化学的腐食に強い
銅合金は鉄などの実用金属の中では耐食性が高いですが、リン青銅は、真鍮を腐食させる亜硫酸でも耐食性を示すなど、銅合金の中でも化学的腐食に強いです。
⑦曲げ・絞り加工性に優れる
加工性については、切削、プレス、曲げ、絞りなどの加工が可能ですが、スズの含有量が多い種類ほど、強度や硬度が高まり、展延性も低くなります。またリン青銅は、銅合金の中では硬いため、真鍮などと比べると切削性が良いとは言えません。そのため、リン青銅では、プレスや鍛造、曲げ・絞りなどの加工方法を選択することが多い