■ねむれる森の美女さながら永いねむりについてしまった美しく幼ない姫に魅入られるかのごとく数奇な運命をたどる腹違いのひとりの童子―中世の京の都を舞台にくり広げられる男と女の不可思議な生涯を物語る「ねむり姫」ほか、実母の生んだ牝狐を愛し命を奪われてしまう男の物語「狐媚記」など、古今東西の典籍を下敷きに構築されたあやかしの物語六篇。
■著者略歴:
1928‐87年。東京生まれ。本名龍雄。東大仏文科卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表。晩年は小説に独自の世界を拓いて、広く読まれた。
■河出書房新社 1983年刊
■状態:1987年8刷。小口にシミあり。