モードの誘惑
山田 登世子
藤原書店 2018
「モードは殺されるためにある」 鮮烈に時代を切り取る「モード」論を集成!
急逝した山田登世子(1946-2016)が遺した、文化、芸術、衣装、風俗に大胆に切り込む膨大な単行本未収録原稿から、「モード」「ブランド」に関わる論考を精選。
流行現象に現れた人間の心性に注目し、歴史理解へとフィードバックする、著者ならではの視点が発揮された、単行本未収録名文集。
目次
Ⅰ ブランド
ブランドの百年
ブランドの戯れ
ブランドとカリスマのおかしな関係
モード革命と「ブランド現象」
ブランドという虚業
生活の場からの「問いかけ」
ファッション・ブランド
Ⅱ 黒/靴
黒の脱構築
黒の男たち
黒のドレス
欲望のあやうい戯れ
靴を紐解く
靴をめぐる愛
Ⅲ シャネル
シャネルのモード革命
シャネルは海の香り
ゴージャスからリュクスへ
シャネル・ブームをよむ
映画『ココ・シャネル』に寄せて
「モード、それは私だ」
タイタニックからシャネルまで
Ⅳ 誘惑のモード
女たちのモード革命
世紀末パリのきらめき
ヴェネチアの魔の衣装
誘惑論
みんな「女」になってしまった
誰に媚びるの?
身嗜みが輝く。
デオドラント文化の行方
なぜ《顔》なのか
なぜ美人は“美人”になったのか
エフェメラの誘惑
ファッション産業が新奇性から成ることをよく心得ていたシャネルは、永遠性に価値をおかなかったのだ。
けれどもブランド論としてさらに重要なのは、シャネルが「本物」に反対したことだろう。コピー=偽物の流通は本物を殺すというのがオートクチュールの意見である。けれども、まったくコピーされず、模倣もされないような商品、つまり「はやらない」ブランドに、いったいブランド力があるのだろうか。
つまりシャネルは発想の「逆転」をやってのけたのである。ルイ・ヴィトンに代表されるような本物至上主義にたいして、シャネルはこう言ったのだ。偽物がなぜ悪い、偽物があってはじめて本物の価値がせりあがる、と。シャネルのこの「逆転の発想」は、十九世紀のブランド観をくつがえす力をもっていた。
(本書より)
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