シュベーグラー　西洋哲学史

 哲学史の白眉といってよいものと思います。とかく哲学というと堅苦しく考える人が多いようですが、要は如何に考えるかということにつきます。従って、全ての学問の根幹であるともいえます。

 各哲学者の思考はどのような言葉を使っても完全に解説はできないもので、本人にしか解りません。仏教ではこれを不立文字という。シュベーグラーという人はその辺のことがよくわかった人のようで、本人が書いた言葉をそのまま引用してうまく纏めております。この当たりはカントとフィヒテの下りを読めば良くわかります。

 しかし、我々はその各哲学者の思考様式は真似ることはできる。私の場合は一度ではなかなか理解できなかったものですから、なんども繰り返し読むことで少しづつ理解できるようになりました。人間はその言語でしか思考することができません。従って日本人は日本語で考える。日本人には一と多という思考がない。この辺の理解が最初はできませんでした。これで大まかな流れを掴んでそれぞれの作品を読むと良い。特にカント（カント自身はヒュームの思考様式だと言っておりますが）の思考様式は現代に最も必要なものを含むと言って良いでしょう。

 最近経済学の世界で統計学的相関関係と本来の相関関係を混同・誤用している学者としてあるまじきケースを多く見受けます。これらをキチッと把握するためにも哲学はよい勉強の題材です。