コニッツのピアノ・デュオ作品というだけで、トリスターノとコニッツのアヴァンギャルドな世界を勝手に想像してしまった。猫麻呂の頭の中では、コニッツはいつまでもトリスターノな人であり、あって欲しいのだ。コニッツに「人間宣言」なんてして欲しくない。いつまでも「雲の上の音楽」で
あって欲しいと思っているのだ。だから、猫麻呂ブログではスティープルチェイス時代以降のコニッツには厳しいコメントが多くなる。しかし、この
作品はなかなか良い。コニッツ自身は往年のカミソリのような切れ味はなく、ハサミくらいの切れ味しかないが、この時代のペーパーナイフのような
演奏と比べれば格段に良い。しかし、所詮は「ハサミ」なので、切れ味は期待しない方がいい。むしろ、凄いのがハル・ギャルパーの好演なのである
。ギャルパーは、フィル・ウッズやチェット・ベイカーの伴奏もやっていたので、名前には馴染みがあったが、ギャルパーの演奏に耳が釘付けになっ
たことはこれまで無かった。そんなギャルパーが、このCDではコニッツを自分の世界に引きずり込んで自己主張をしているのだ。単調になりがちな
コニッツに、リズムを変えたり、アウトに誘ったり、あの手この手で音楽として飽きさせない工夫をしている。結果として、コニッツはギャルパーの
作ったお神輿の上で踊らされているようなものとなったが、これがコニッツ的にはハマっているから不思議である考えてみれば、コニッツは自身が音
楽をリードするよりも誰かがリードする音楽の上でオイシイとこ取りをするのが得意なのかもしれない。トリスターノ派は単色系の演奏だから、誰に
色を付けてもらわないと水墨画のような音楽になってしまう。だからこそ、コニッツは様々な個性のジャズマン達と共演を続けたのではないだろうか
。「共演」が「競演」となって音楽性がアレレ?な方向に行ってしまうことも多い中、ギャルパーは大先輩のコニッツと争うのではなく、コニッツを
手玉に取った演奏をした。結果、コニッツのハートに火がついて、ギャルパーの思惑通りに事が進んだのではないだろうか。さすがはバークレーで教
えているだけある。実は、バークレーで「先輩ジャズマンの使いこなし方講座」なんてやってたりして・・・?
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1 I'm Gettin' Sentimental Over You
2 Windows
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| 5:32 |
| | 3 Villainesque
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| | 4 Sweet And Lovely
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| | 5 Stella By Starlight
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| | 6 Goodbye
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| | 7 Solar
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| | 8 Soliloquy
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| | 9 Softly As In A Morning Sunrise |