④詳細情報
■『Cookin' with the Miles Davis Quintet』は、1956年に録音され、1957年にリリースされた、マイルス・デイヴィス・クインテットの代表的なアルバムのひとつです。このアルバムは、マイルス・デイヴィスが率いる「ファースト・グレート・クインテット」(第1期黄金の5重奏団)の時期に録音されたもので、彼のキャリアにおける重要な作品です。
背景
このアルバムは、マイルス・デイヴィスがプレスティッジ・レコードとの契約を終了するため、短期間で複数のアルバムを録音したうちの1枚です。実際に、『Cookin'』は同じセッションから生まれた4部作の一つで、他には『Relaxin'』、『Workin'』、そして**『Steamin'』が含まれています。これらのアルバムは、マイルスが1950年代後半にジャズのスタイルを進化させ、彼の独自のクールな演奏スタイルを確立していった時期にあたります。
メンバー
このクインテットには、以下の伝説的なメンバーが参加しています:
マイルス・デイヴィス (トランペット)
ジョン・コルトレーン (テナーサックス)
レッド・ガーランド (ピアノ)
ポール・チェンバース (ベース)
フィリー・ジョー・ジョーンズ (ドラムス)
特にジョン・コルトレーンのテナーサックスと、マイルスのクールなトランペットの対比が際立っており、これが後にジャズの歴史を変えることになる「モード・ジャズ」の基盤を築きました。
アルバムの特徴
『Cookin'』は、スウィング感とブルース感をベースにした非常に自由な演奏スタイルが特徴です。即興的な要素が強く、メンバー各自のソロパートは非常に感情的で、リスナーに強い印象を残します。特に注目される曲には、以下のようなものがあります。
「My Funny Valentine」:スタンダード曲であり、マイルスの繊細で抒情的なプレイが際立っています。
「Blues by Five」:ブルースの要素を取り入れた演奏で、メンバー間の絶妙なインタープレイが楽しめます。
「Tune Up/When Lights Are Low」:テンポの速い「Tune Up」とスムーズな「When Lights Are Low」をメドレー形式で演奏。
このアルバムは、ジャズの即興性、スウィング感、そしてマイルス・デイヴィスのアーティストとしての進化を表す重要な作品として、現在でも高く評価されています。
影響
『Cookin' with the Miles Davis Quintet』は、モダンジャズの名盤として知られ、マイルスのクールなトランペットスタイルと、ジョン・コルトレーンの鋭いサックスが生み出す音楽の対話がジャズファンにとって特別なものとなっています。この時期の作品は、マイルスが後に進化させる「モード・ジャズ」の基礎となっており、ジャズ史における重要な転換点となりました。