デューク・ジョーダンは、チャーリー・パーカーのクインテットのレギュラーだった1947年の「チャーリー・パーカー・ストーリー・オン・
ダイアルVol.1」、「同Vol.2」や、その後の1952年の「スタン・ゲッツ・プレイズ」で聞けるが、初のリーダーアルバムは1954年の「デュ
ーク・ジョーダン・トリオ」(ヴォーグ)である。第2作が1955年のこのアルバムで、第3作は1960年の「フライト・トゥ・ジョーダン」(
ブルーノート)である。その後のリーダーアルバムは、1970年代半ばのスティーブルチェイス・レーベルまで待たなければならない
曲順の1,2,6,7,10がデューク・ジョーダンの作、8がセシル・ペインの作であり、どれもメロディがきれいでテーマの受け渡しも滑らかである
。この時代の曲や演奏に「ムーディー」というのは変なのは百も承知だが、バラードも過度にブルージーに流れず、メロディアスである
前半のトリオ演奏は、端正ながら親しみやすいピアノのメロディに、アート・ブレイキーのドラムが変化をつける。後半のクインテット演奏
は、エディ・バート(tb)とセシル・ペイン(bs)のフロント2管が豊かな低音でリードし重心の低いサウンドになっている。6.の「フライト・
トゥ・ジョーダン」は辛口評論で知られる寺島靖国氏が「ジャズの10本の指に入る名曲」と評したもの。トロンボーンとバリトンサックスの
ユニゾンで低く朗々とテーもっと少なく読むマが繰り返された後、ドラムの一瞬の区切りでピアノが引き取る。そしてバリトン、トロンボーン の順に変化が広がって行く。アート・ブレイキーのドラムソロのあと、低音2管のユニゾンのテーマで締めくくる。確かに楽しくなる曲である
。9.の「イエスタディズ」はセシル・ペインのバリトンサックスが情感豊かにメロディを紡いでゆく。バリトンがこんなにも滑らかとは。この
曲にはスタン・ゲッツ(ts)ほか名演が多いが、ここにも名演の一つがあると思う。(この演奏はトロンボーンが休みのカルテット。)トリオ演
奏されるスタンダードの 4.「チュニジアの夜」ではアート・ブレイキーのドラムソロが印象的、5.「サマータイム」はピアノ演奏の一つの手
本で、「チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス・アット・カーネギーホール」や「ズート・シムズ・アンド・ザ・ガーシュイン・ブラ
ザーズ」での名演と聞き比べたい。トリオ演奏もクインテット演奏も楽しめるCDである。
| 1 フォア・キャスト
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| 2 サルトリー・イブ
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| 3 私からは奪えない
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| 4 チュジニアの夜
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| 5 サマータイム
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| 6 フライト・トゥ・ジョーダン
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| 7 トゥー・ラブズ
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| 8 キューバ
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| 9 イエスタデイズ
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| 10 スコッチ・ブルース |