1910年代のWestern Electric製、紫エナメル導体から鍛造及び削り出して製作したコンセントプラグに、ベルデン製シールド付3芯ケーブル2sq(14AWG)と、フルテック製インレットを配線した接地極付シールド電源ケーブルです。また、敢えて精度の高い加工や音質や性能に影響しないコストのかかる仕上げや装飾は行っていません。
WE銅のブレードもエージングによって音が変わります。初めは雑然として中音域にサラサラした付帯音が付く場合もありますが、やがて整然として鮮やかで自然な濃く力強い演奏や歌い手の神髄が心に届くような音になります。また聴感上の過渡特性が凄く、ドラムなどのアタック音は非常に鋭く、かつ力強く、何処までも澄み切った空間に残響音など微細な音も極めてリアルに再現します。ライブ音源などではボーカルがマイクを握って歌っている様子など生々しくよく伝わってきます。この辺りは市場に流通している物や素材の削り出しだけでは得られずWE銅の鍛造による効果と考えられます。
こういった異次元の扉が開いたような凄みのある音は自作アンプなどの調整中に突如現れる場合があり聴く人を驚かせますが、殆ど例外なく或る日忽然と消え、その後、何処をどう調整してもふたたび再現出来る事は極めて稀です。しかし本品はケーブル全体としてもこの現象が顕著に現れ、しかも恒久的に安定しています。現在市場に流通している銅素材から同様の物を作っても期待した効果は得られませんでしたので、当時のWEの銅と現在の銅では音質的に違う事は確かなようです。
使用していますベルデンの電源ケーブルにも独特な音質的特徴があり、特に中音域、特にボーカルの帯域が充実し最前に定位します。また音の余韻に関しても独特の良さがあり、哀愁に満ちた上品な表現力が感じられます。ケーブル自体もシールド付電源ケーブルとしては比較的柔軟で取り廻しも楽です。このベルデンの19364-1を真のリファレンスケーブルと位置付ける方々も多いようですが異論なしです。本品はコネクタ類こそ「特殊」ですがそれを踏まえても手元に1本は置いておきたいケーブルでもあります。
プラグ側のハウジング及びブレード取付ベースは現在市販されている弾力のあるゴム製です。(パナソニックWF75159 国産)
また圧着端子は無メッキに見えますが、これは錫メッキ圧着端子をバーナーで加熱処理することで表面の錫を酸化させて取り除いた後に圧着端子の筒内と接触面を磨いたものです。
ケーブルのシールド及びケーブル内部の3芯のうち1本のアース線は迷走電流を防ぐためインレット側の片側のみアース極に接続してあります。(接地引き出し線、長さ約400mm、M5圧着端子付)
もし音が刺激的すぎる場合はプラグ側に付いている鉄製ケーブルクランプを外してみてください。特に大型ホーンシステムや口径が16cm以上のフルレンジスピーカー、或いはアンプの電源として整流管やセレン整流器、SiC、ヒーターを交流点火などでお使いの場合、電路中やその周辺に「ある程度の鉄」が含まれていないと微細な音まで埋もれてしまい、腑抜けた音になる場合があるため敢えて付けた状態で出品しています。
極性に関しましてプラグ側はアース付き三極プラグからアースプラグを取り除いたものですので、アースプラグ用のスリットがそのまま残っています。その位置から極性を判別できます。 (ピン配列はプラグ側はJIS規格に準拠、インレット側はIEC規格に準拠)
画像の製作途中に撮影した残りのエナメル導体などは付属しません。
NC、NRで大型ホーンシステム、口径16cm以上のスピーカーや或いは良質のヘッドフォン、据置型のアンプ類をお使いの方々に是非お勧め致します。
仕様
ケーブル:BELDEN 19364-1, 2sq(14AWG)×3芯、シールド付、長さ1.4m
プラグ:2極 WE銅鍛造ブレード
インレット:フルテック3極インレット
備考:シールド及びケーブルのアース線はインレット側にて片側接地
接地引き出し線、長さ約400mm、M5圧着端子付