・書籍名 : Haworthia, Haworthiopsis and Tulista
・著者名 : Ingo Breuer & George Borg Marks
・出版社:Privately Published (自費出版)
・発行年:2021年
・形式 : 洋書(英語)、215×304mm、301ページ、ハードカバー
手元に余部があるので出品します。新本在庫となり、一部角潰れはありますが、外部・内部も含めて状態は非常に良いと思います(写真参照)。なお、元々カバー無しの書籍となります。扉に本人のサイン入り。
<書籍説明>
本書は2010〜2011年の'The Genus Haworthia(Vol.1-2)'のアップデート版リビジョンとなり、今のところ著者によるHaworthia(ハオルシア)属の最新分類体系が示されています。300ページほどの大判ハードカバーですので、ズシッと重たい書籍となります。
著者はドイツのIngo Breuer (インゴ・ブリューワー, 1955-)となり、アマチュア出身のナーセリーマンとなります。Ingo Breuerは2000年前後からHaworthiaの分類関係の書籍を出版し始めて、現在では同属のオーソリティの一人となります。第二著者はマルタのGeorge Borg Marksで、Ingo Breuerの古くからの園芸仲間のようですが、詳しくは判りません。
本書ではHaworthiaを3属(Haworthia, Haworthiopsis, Tulista)に分割した体系を示しています。また、分類趣向としては、比較的細かく分けるスプリッターとなり、各地のコロニーまたはコロニー群を基本として分割する傾向にあります。他の植物ではあまり見ないcluster(クラスター)とaggregate(アグリゲイト)の2ランクに分けて分類しています。種や変種とは異なる記述方法ですが、園芸的にはaggregate単位で考えれば良いかと思います。
細分化した分類体系を300ページで示しており、大量の栽培株の写真がズラッと並んでおり、野外株写真と比べて栽培株との比較はしやすいかと思います。ここはナーセリーマンらしいアプローチかと思います。一方で、テキストは少なめで、グリッド様式の位置情報(地図)と形態特徴が示されており、どちらかというと分類体系を示したデータベース的な書籍となります。その他、分類学的な歴史や考え方、栽培方法などが収録されていますが、園芸品種については扱っていません。
Haworthiaについては、'Haworthia Revisited: A Revision of the Genus'を出版した故Bruce Bayerがオーソリティとして知られていますが、本書で示されるIngo Breuerの体系は、より詳細に分けられており、大きく異なります。両者は出自やアプローチ、考え方が結構異なりますので、それぞれの書籍で各氏が示す考え方について、読み手がどちらに賛同するのかという話かと思います。翻すと、それぐらい分類するのがややこしい群なんだなと感じます。ここら辺の話は、様々なサボテンや多肉植物の書籍で見られる話でして、あちこちで統合主義者と細分主義者という対立軸で語り草になっています。
長期的に見れば分類学に確実な正解はありませんので、両者の書籍を読み比べながら、ご自身で考えてみるのも良いかなと思います。