大形本 挿花百規 完全復刻 いけばな美術名作集 第六巻 作品集 画集 植物画
池坊専永 監修
華道家元池坊総務所 池坊中央研究所
2003年
143ページ
約31.5x22x2.6cm
函入 金箔押し布張上製本
華道池坊家元蔵「挿花百規」全巻復刻。池坊専定の生花集。
冒頭にある白菊三本の生花にみられるように、
池坊生花が長い年月をかけてついに至り得た精神性の極致を示しており、
この姿を根本にして百花ひとしく咲きいでる形が現在の池坊の生花にあらわれている――
シンプルな作例はその実日常にも活用しやすい内容。
本文カラー、巻末解説にはモノクロ参考図版も多数掲載した、
大変貴重な資料本です。
【巻頭より】
文政三年(1820)刊池坊専定撰
紙本墨刷彩色折本 二冊 29x19cm
池坊総務所蔵
本書は、厚手の料紙に墨刷された生花図に彩色された豪華本。原図及び彩色は、池坊専定の画友である四条派の画家、松村景文と横山清暉が携わった。表紙は、専定好みの瓢箪文様の緞子で、乾巻は金糸、坤巻は銀糸の緯糸を用い、瓢箪の文様を浮き出たせている。
巻頭には専定の序文、乾巻の末尾に呉(松村)景文・横山清暉の跋文、坤巻には横山清暉の跋を載せる。収載図は何れも池坊生花の究極を示す格調の高いもので、百図収載。
本書が刊行された文政三年当時は、生花が、一般町人にまで浸透し、様々な流派が簇生した。そのため、本書の序文に記されているように生花の規矩が乱れ、技巧にはしり、奇異を街った生花が横行した。
そのような時代背景の中で刊行された本書は、華道家元としての池坊の正統性を主張するとともに、生花の規矩の美しさを世に示したものである。以後、部分的な花図の差換えがあるものの、無彩色和綴普及版一冊本となり、幕末に至るまで池坊の生花の手鑑となった。
本書の覆刻版が、大正十三年、木版多色刷乾坤二冊折本として、三重県宇治山田市の十文字重輝により出版された。
【目次】
図版
挿花百規
(附)折本一冊本の内五図
本文
池坊における生花 西村勉
挿花百規 解題
挿花百規 花材名一覧
【執筆者】
西村勉
大正六年京都府生まれ、立命館大学国文学科卒、
華道家元池坊総務所・池坊中央研究所室長。
主な執筆「専応口伝」「池坊専養とその周辺の立花」
「池坊における生花」
(集英社刊「いけばな美術全集」全十卷共著)
平成十四年五月没。