69年にナショナルのワールドボーイGXと殆ど同時期に発売されたソニーのベストセラーモデルです。
定価¥14800というのは、当時の大卒新入社員の給与の半分位で、今の価値では5万円以上だったろうと思います。
革ケースとアダプターが付属していました。
出力は当時としては大出力の1.1W,スピーカーはφ92mmの比較的小さめのアルニコ磁気回路の物。
ソニーはこのスピーカーが気に入っていた様で、このIC11の後のIC11B, THE11,
THE11D迄ほぼ同じ物を使っていた様です。但しモデルチェンジ毎に出力は1.1→1.5→2.0→2.6Wと増えていった為、大出力になると簡単に音が割れました。
この辺はスピーカーもアンプ部も余裕のあったナショナルの勝ちですが、小音量での繊細さはソニーでした。
ACアダプターを分離したのもナショナルと異なる部分で、実用性はナショナルの方が良かったでしょうが、携帯用にはソニーの方が軽いというメリットがありました。
もう一つこのモデルの特長はこの端正なデザインにあり、小生の主観では古今東西最も美しいラジオだと思います。
使い勝手も良く、感度も当時の最高水準にありました。
というわけで、このIC11とナショナルのワールドボーイは当時のポータブルラジオの2大ベストセラーとなり、以降この2社がラジオ業界のトップメーカーとして君臨します。
この個体は外観は比較的綺麗で、機能面にも問題はありません。
妨害電波に比較的弱い傾向ががあり、AM受信時に雑音を拾い易い感じがします。そうそう、右下のIC+FETののマークは自作です。
他には大きな問題はありません。
マイナス金具は腐食で機能せずピアノ線で自作して居ます。
電池付きです。