ベートーヴェン
①自作の主題による32の変奏曲 ハ短調 WoO.80
②ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 《月光》
③ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31の2 《テンペスト》
アナトリー・ヴェデルニコフ(ピアノ)
録音:1973年①、1974年②③
ヴェデルニコフの得意としたベートーヴェン作品より有名な《月光》と《テンペスト》のソナタ2曲とヴァリエーション1曲を収録。表情豊かで豪快なピアニズムはロシア楽派ならではの魅力だが、ヴェデルニコフ一流の知性的な面も発揮されている。見事な構成感の中で思索的かつロマン的な表現に溢れる、聴き応えたっぷり。
リヒテルより5歳、ギレリスより4歳年下のヴェデルニコフは、旧ソ連ではリヒテルやギレリスに並び立つ大ピアニストとしてよく知られた存在でしたが、ソ連国外でレコードが発売されることもなく、欧米諸国に演奏旅行に出かけることもなく、世界的には無名に近い存在でした。それが、1994年に日本コロンビア(DENON)から、10数枚のCDが「ヴェデルニコフの芸術」として発売され、その演奏は驚きとともに絶賛されました。このディスクは、その演奏の圧倒的反響を受けて、再発された中の1枚で、ヴェデルニコフのベートーヴェンの素晴らしさは、リヒテルやギレリスと同格、いやそれ以上かもしれません。「月光」の第1楽章の深々とした高貴な、それでいて完璧なバランスを保った表現は、ことさら印象的です。(追伸:出品に際して聴き直したところ、「月光」も「テンペスト」も全楽章、圧倒的な素晴らしさでした。)
須山多恵氏(ライナーの解説文より)
「ヴェデルニコフは、これらの2大名曲に対しても、ことさらに大袈裟に構えることなく、妥協のない自信に満ちた表現で『音楽そのもの』を聴かせてくれる。『聴き手はヴェデルニコフの演奏では作曲家の書いたテクストを理想的なかたちで聴くことになる』とロシアの批評家たちから称えられたヴェデルニコフの演奏の真骨頂を聴く思いである。なお、ヴェデルニコフはこの2曲のソナタを対にして取り上げることが多かったそうである。」
国内盤【廃盤】帯無し、盤面傷無し 17
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