交渉術

※本の表紙にダメージ感があります（写真３枚目） ロシアを中心に外交官や情報局員として 活動した佐藤優さんによる回想録です。 主軸は戦後ソ連に奪われた北方四島の 返還にまつわる交渉の歴史です。 ソ連の譲歩を引き出す、という難しい交渉において、佐藤さんの働き、鈴木宗男など 政治家の働き、日本の首相や外務省などの 官僚の思惑などが巧みな文章力によって 臨場感をもって伝わってきます。 タイトルにある交渉術ですが、理屈的な部分は特に出てきません。 対ロシアとの無理難題な交渉の現場の数々を見て、そのリアリティを感じることがこの本の価値だと思います。 時系列に綴られた日記のようなものでなく、女、酒、トップの孤独、政治事件、など テーマに沿ってまとめられています。 〇インフォメーションとインテリジェンスの違い インフォメーションはただ集められた情報。 インテリジェンスとはその情報を取捨選択したり裏付けをとったりして使える情報に加工したもの。 インテリジェンスは必ずターゲットがあり、活動目標がある。 要人から情報提供を受けるのも、逆にあえて情報を流すのも、すべて交渉の連続であり、 インテリジェンス活動と交渉術は 切り離せない。 各国のインテリジェンス機関が 交渉術の理論と事例研究を 徹底的に行うのはそのような理由から 〇北方領土問題は2000年には解決寸前までいっていた 佐藤が最終目標としていた北方領土問題の 解決は、2000年の平和条約の締結において解決までの道筋が見えるはずだった。 しかし、解決に意欲を見せていた エリツィン大統領の体調問題、 ロシアの経済危機、日本の森政権の瓦解などによりとん挫した。 →当時は日本との経済協力によるメリットや 国際世論のために、北方問題を解決することはロシア側にとって悪い選択ではありませんでした。 当時から、10年後にはロシアが経済発展を 果たして交渉は難しくなる、と言われていたようですが、 この2000年がこの問題の解決において、 逃してしまった重要なターニングポイントであったのかもしれません。 #佐藤優 #本 #BOOK ＃政治 ＃交渉 ＃北方領土 （RYOSUKE book） ※他にも色々出品しています ※良ければプロフィールもご覧ください