●パキスタン産のハイグレードな品です
●天然オイルが石の中に取り込まれています
●UVライトを当てると、幻想的な光を発します
●『天空の城ラピュタ』に登場する「飛行石」のモデルの一つともいわれています
「飛行石よ、光れ」
「リテ・ラトパスタ・ウルス・アリアロス・バル・ネトリーム」
明かりを消し、カーテンも閉め切って真っ暗にした部屋の中、メグは、ペン型のUVライトのスイッチを入れた。胸は高鳴っていた。
「リテ・ラトパスタ──」
おまじないを繰り返しながら、床に置いた透明な小さな石ころに光を向ける。
「ああ……」
思わずため息が漏れた。
石は、青緑色に光っていた。幻想的で不思議な輝き。
──飛行石だ。
それは、大好きな宮崎アニメ『天空の城ラピュタ』に出てくる「飛行石」に似ていた。同級生からその石の話を聞き、母に頼んでメルカリで買ってもらったものだ。
小学5年生のメグは、2年前にテレビでアニメを見て以来大ファンになり、誕生日にねだったDVDで何度も見直した。今では、そらでおまじないを唱えることができる。
「飛行石」は、物体を浮遊させる力を持つ。アニメのヒロイン「シータ」は、この石のペンダントを身に着けており、おまじないを唱えるとそれが光を放ち始める。
メグは、シータにあこがれていた。石の力で空を飛び、素敵な王子さまの許へ連れて行ってもらいたかった。
「リテ・ラトパスタ──」
うっとりしながら、覚えた言葉を何度も何度も口にする。頭の中には夢の世界が広がっている。
そのとき、大きな音を立ててドアが開いた。
「なにやってんの。早く寝なさい!」
母の声で、メグは現実に引き戻された。
その瞬間、頭から王子さまの姿が消えた。
かわって浮かんだのは、やっていない宿題のことと、怒る担任教師の顔だった。